両側検定と片側検定

疫学統計の基礎

2群を比較する場合、連続変数の場合はt検定やMann-Whitney testを用い、名義変数の場合はX2(カイ二乗)検定やFisher 直接確率検定を行います。検定方法 いつ何を使う?

どの場合も「両側検定」「片側検定」を選択できるのですが、使い分けはどのようにしたらよいでしょうか。

基本は両側検定

医学、臨床研究の場合には両側検定を使用するほうが多く、論文でも特に何も記載がなければ両側検定を行っているものと思ってよいでしょう。

両側検定はAとBを比較する場合、A>BにもA<Bにもなりうる場合に用いられます。例えば、新薬Aと従来の薬Bの比較の場合、Aの方が治療効果が高いこと(A>B)を期待して新薬を作っているわけですが、Bの方がより効果が高い可能性もあります(A<B)。臨床の現場においてはこのような状況がほとんどであるため、通常は両側検定が用いられています。

両側検定

 そのため、p<0.05を有意ありとする場合、上側2.5%、下側2.5%に入った場合に有意差ありとします。

片側検定を使う場合

ただし、A>Bが想定され、A<Bは想定されない場合があります。

例えば降圧薬C 100㎎と降圧薬C 300㎎を比較する場合です。この場合は降圧効果はC 100mg<C 300mgとなるか有意差はないかどちらかと考えられます。同じ薬剤ですのでC 100mg>C 300mgとなる状況は考えにくいです。このような場合に片側検定を用います。

片側検定

p<0.05を有意差ありとする場合、上側5%、もしくは下側5%に入った場合に有意差ありとします。両側検定のときの図と比較してみましょう。上側だけを比較すると、両側検定の場合は2.5%、片側検定の場合は5%ですので、より有意差が検出されやすくなります。

むやみに片側検定を使用するとαエラー(本当は差が「ない」のに「ある」としてしまう)が増えてしまいます。基本は両側検定、状況に応じて片側検定と覚えておきましょう。

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