Systematic review & Meta-analysisの流れ

疫学統計の基礎

エビデンスレベルが最も高いMeta-analysis。あるリサーチクエスチョンに対するstudyが複数ある場合にそれらを抽出、統合してまとめ、結論を導いたものと言えます。Systematic review & Meta-analysisの流れをみていきます。

リサーチクエスチョンを決定し、研究計画を立てる

これに関しては他の研究と何ら変わりはありません。研究計画書も特別なものはありませんが、Inclusion criteria、Exclusion criteria、エンドポイントなどそれぞれの定義を具体的にしておくことがとても重要です。類似した研究でも疾患の診断方法や定義が異なっていたり、エンドポイントが異なっていたりすることがあります。文献のレビューは複数で行うことが通常ですから、約束事をしっかり決めておきます。

研究を計画するに当たって、リサーチクエスチョンに関する論文を検索してみましょう。この下調べが大変重要です。論文が何本ほど出ているのか?すでにMeta-analysisが存在する場合も少なくありません。

研究資料の収集

Meta-analysisは研究資料を漏れなく収集することが重要です。複数のデータベースを用いて検索します。存在する文献の数にもよりますが、どの範囲で検索を行うかも決めておきます。

検索の範囲

・学術雑誌に掲載されたすべての原著
 メリット:信頼性高い、収集容易
 デメリット:出版バイアスが生じやすい
・学会発表、博士論文や専門書などに発表されたあらゆる研究
 メリット:比較的出版バイアスは小さい
 デメリット:収集する労力が大きい
・未発表だが、学術雑誌に掲載予定の原著
・未発表だが、すでに終了しているすべての研究
 メリット:出版バイアスは少ない
 デメリット:信頼性が低い、収集するのが難しい

未発表データを検索に含めることは実際には難しいので、上1つ、もしくは2つで行うことが多いです。学会発表の抄録のみ入手できた場合など、必要なデータが不十分な場合で、Inclusion criteriaを満たしそうな場合は著者に直接問い合わせをする作業も必要になることがあります。

電子データベースの一例

  • MEDLINE
  • PubMed
  • Index Medixus
  • EMBASE
  • Current Contents
  • 医学中央雑誌
  • Google scholar

論文の取捨選択

複数のデータベースを用いた場合、論文の重複が発生する場合があり、重複は除きます。また、同じ研究グループから同様の内容で複数の発表があることがあり、すべて入れてよいのか、一番代表的なもの、新しいものを選択するのかを決定しなければなりません。詳細が不明なときは問い合わせが必要であることもあります。
データの取捨選択は複数人で独立して行うのが望ましいです。それぞれがInclusion/Exclusionを判断し、最後につき合わせます。意見が合わなかった場合には相談して決定する、第3者に判断をゆだねるなどの方法があります。
収集されたデータを管理するにはRayyanがとても便利です。複数のデータベースからの論文を一括管理でき、重複も簡単に除くことができます。複数人が独立してレビュー、決定を行った後に、Blind offにして結果を表示します。Conflictのみを抽出することもできるので、文献のInclusion/Exclusionを行うのに役に立ちます。
Rayyanは登録すると無料で使用できます。>>https://www.rayyan.ai/

図1 Rayyanのレビュー画面例

レビューの過程はPRISMA flow diagramにまとめられます。
PRISMAのWebサイトからフォーマットをダウンロードできます。>>http://prisma-statement.org/PRISMAStatement/

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図2 PRISMA flow diagramの一例

Inclusionされる論文をtableにまとめる

Meta-analysisにInclusionされた論文の要約をtableにまとめます。

著者、発表年、国・地域、サンプルサイズ、患者背景(年齢、性別)、アウトカムに関する項目などをまとめます。

図3 Summary tableの一例

Risk of biasで論文の評価を行う

Risk of bias assessment toolを用いてInclusionされた論文のバイアスの評価を一つずつ行います。Randomized control trialとnon-randomized control trialで評価項目が異なるので、適したものを選択します。Randomized control trialではRoB2、non-randomized control trialの場合はRoBANSというツールがあります。Inclusionされた論文に関して評価項目をlow risk/intermediate risk/high riskに分類していきます。
Risk of bias info.のWebサイトに詳細やデータを下記のようなグラフにするvisualization toolがありますので参照してください。>>https://sites.google.com/site/riskofbiastool/welcome

図4 Risk of bias assessment (Cochranより引用 Cochrane Training | Trusted evidence. Informed decisions. Better health.

データの統合

Inclusionした論文のsummarize tableを作成したり、アウトカム(オッズ比、リスク比、平均の差など)を抽出してデータを統合したりします。
Forrest plotはなじみが深いのではないでしょうか?Stata、SAS、Rなどの統計ソフトでも作成することができますし、Meta-analysis用のソフトウェアもあるようです。
データの見方については別項で扱います。

論文にまとめる

PRISMAチェックシートでチェックを行う

PRISMAチェックシートには「○○の項目が記載されているか?」など必要項目が羅列してありますので、一つずつチェックをしていきます。PRISMAのWebサイトからフォーマットをダウンロードできます。>>http://prisma-statement.org/PRISMAStatement/

以上、Systematic review & Meta-analysisの流れでした。

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